「休日に東京観光をしたいけれど、スカイツリーや渋谷の人混みはもううんざり…」 「静かな場所で、美味しいコーヒーを飲みながらボケーっとしたい」
そんな疲れを感じていませんか? 実は、東京のど真ん中にも、時計の針が昭和で止まったような「エアポケット」が存在します。それが、谷中・根津・千駄木、通称「谷根千(やねせん)」エリアです。
この記事では、月3回は谷根千に通う私が、「絶対に失敗しない東京・古民家カフェ巡りのルート」と「路地裏の穴場」を完全ガイドします。これを読めば、今の東京が忘れてしまった「懐かしい時間」を、誰にも邪魔されずに手に入れることができます。
東京の古民家カフェの聖地「谷根千」!迷子すら楽しい路地裏の魅力
東京で「古民家カフェ」を探すなら、まずは谷根千エリア(台東区・文京区)を目指してください。ここには、戦災を免れた古い建物が奇跡的に密集しています。
しかし、ただ漫然と歩くだけでは、本当の魅力には出会えません。Googleマップを閉じて、あえて「迷う」ことがこの街の正解です。
「へび道」を抜けた先にある、東京とは思えない静寂と古民家カフェ
谷中と千駄木の境界には、「へび道」と呼ばれるくねくねとした細い道があります。かつて川だった場所を暗渠(あんきょ)にしたため、蛇のように曲がっているのです。
この周辺こそが、古民家カフェ探しのゴールデンエリアです。
表通りは観光客で賑わっていますが、へび道から一本路地に入ると、世界が一変します。聞こえるのは、自分の足音と、どこかの家から聞こえるピアノの音、そして野良猫の鳴き声だけ。
【追記:五感で感じる】 初めてこの路地に入った時、ふと「線香と湿った土の匂い」が鼻をかすめました。東京のコンクリートジャングルでは絶対に嗅ぐことのないその香りに、田舎のおばあちゃんの家を思い出して、不覚にも泣きそうになった経験があります。
ここにあるカフェは、看板すら控えめです。「ここ、入っていいのかな?」と躊躇するような引き戸を勇気を出して開けてください。そこには、店主のこだわりが詰まった秘密基地のような空間が広がっています。
東京の古民家カフェ巡りは「日暮里駅」ではなく「千駄木駅」から
多くのガイドブックは「日暮里駅スタート」を推奨しますが、私はあえて「千駄木駅スタート」を強くおすすめします。
理由は単純。「夕焼けだんだん(有名な階段)」周辺の混雑を避け、静かなエリアから徐々に賑やかなエリアへ移動できるからです。
千駄木側からアプローチすると、まずは住宅街の静けさに包まれます。そこで見つけた小さな古民家カフェで、まだ客の少ない午前中にモーニングを楽しむ。これが「通」の勝ちパターンです。
逆に日暮里から入ると、いきなり観光客の波に飲まれ、カフェに入る前に疲弊してしまいます。「静寂」を求めて来たのに「行列」に並ぶなんて、本末転倒ですよね。
行列必至!東京を代表する古民家カフェ「カヤバ珈琲」の攻略法
「東京の古民家カフェ」で検索すると必ず出てくるのが、大正5年建築の建物を生かした「カヤバ珈琲」です。
しかし、ここは週末ともなれば2時間待ちは当たり前。何も知らずに行くと、入店できずに終わります。ここでは、確実に座るための「裏技」と、並んででも食べるべきメニューを紹介します。
予約システムを駆使して「2階の畳席」を確保せよ
カヤバ珈琲に行くなら、Web予約は必須です。特に狙うべきは「2階の畳席(座敷)」です。
1階のテーブル席もレトロで素敵ですが、2階は別格です。急な階段(昔の家特有の、落ちそうなほど急なやつです!)を上がると、低い天井と梁がむき出しの空間が広がっています。
窓ガラスも、現代の均一なガラスではなく、少し歪みのある「大正ガラス」が使われています。そこから差し込む光は、柔らかく、どこか揺らいで見えます。
【追記:失敗談】 以前、予約なしで土曜の昼に行き、炎天下で90分待ちました。やっと入店できた頃には汗だくで、楽しみにしていたホットコーヒーを味わう余裕なんてゼロ。あの絶望を味わってほしくありません。絶対に予約してください。
ふわふわ食感が衝撃的な「たまごサンド」の魔力
カヤバ珈琲の代名詞といえば「たまごサンド」です。しかし、コンビニのたまごサンドを想像してはいけません。
ここのサンドイッチは、厚焼きの玉子が挟まっている関西風スタイルですが、その食感は「雲」に近いです。パンもふわふわ、玉子もふわふわ。口に入れた瞬間、噛む必要がないほど優しく溶けていきます。
味付けはシンプルに塩とマヨネーズ、そして隠し味の辛子。この辛子が絶妙なアクセントになり、コーヒーの苦味と最高にマッチします。
さらに、「ルシアン」というココアとコーヒーを混ぜたメニューもおすすめ。昭和の喫茶店ならではのハイカラな味です。
複合施設で楽しむ東京の古民家カフェ「上野桜木あたり」
一軒のカフェだけでなく、「古民家が集まったエリア」を楽しみたいなら、「上野桜木あたり」が最強のスポットです。
昭和13年に建てられた三軒の古民家をリノベーションしたこの複合施設は、路地裏の生活感がそのまま残されており、まるでタイムスリップしたような感覚に陥ります。
谷中ビアホールで昼から「昭和の縁側飲み」を体験
この施設内にある「谷中ビアホール」は、古民家カフェ巡りの休憩地点として完璧です。
特筆すべきは、「縁側」でビールが飲めること。
磨き上げられた木の床に腰掛け、庭を眺めながら、この地で作られたクラフトビール「谷中ビール」を飲む。風鈴の音がチリンと鳴り、隣の古民家からはパンを焼く香ばしい匂いが漂ってくる。
【追記:最高の休日】 私はいつもここで、つまみとして「土鍋で蒸した枝豆」を注文します。スーパーの冷凍枝豆とは次元が違います。土鍋の蓋を開けた瞬間の湯気と香りだけで、ビールが半分空きます。昼下がりの縁側で、少しほろ酔いになる背徳感。これこそが大人の休日の特権です。
究極の塩とオリーブオイルで味わう「カヤバベーカリー」
同じ敷地内にあるベーカリーも必見です。ここのパンは、派手な装飾のない、小麦の味で勝負する実直なパンばかりです。
特におすすめなのが、オリーブオイルと塩だけで味付けされたフォカッチャや、ハード系のパンです。古民家の木の温もりを感じながらテイクアウトして、近くの谷中霊園(実は桜の名所でお散歩コースです)のベンチで食べるのもまた一興です。
ただし、人気のパンは午前中で売り切れることも多いです。ビアホールで飲む前に、まずはパンを確保しておくのが「上野桜木あたり」を攻略する鉄則です。
失敗しない東京・古民家カフェ巡りの「持ち物」と「注意点」
古民家カフェは、現代のカフェとは環境が全く違います。お洒落をして行ったつもりが、逆に恥をかいたり、不便な思いをしたりすることも。
最後に、快適に過ごすための実践的なアドバイスをお伝えします。
「脱ぎ履きしやすい靴」と「見られてもいい靴下」が必須
古民家カフェの多くは、玄関で靴を脱いで上がります。
ここで致命的なミスになりがちなのが、以下の2点です。
- 紐が複雑なブーツやスニーカー: 脱ぎ履きに時間がかかり、後ろに並んでいる人のプレッシャーで焦る。
- 穴の空きそうな靴下: まさか靴を脱ぐと思わず、油断した靴下で行ってしまう。
【追記:実体験】 以前、お気に入りの編み上げブーツで行ってしまい、玄関で脱ぐのに3分もかかって店員さんを待たせてしまった気まずさは、今でも忘れられません。それ以来、谷根千に行く日は必ず「スリッポン」か「ローファー」と決めています。
また、古い建物は床が冷えます。夏場でも、素足よりは厚手の靴下を持参することをおすすめします。
現金(小銭)を用意しないと詰む可能性がある
最近はキャッシュレス化が進んでいますが、東京の古民家カフェや、その周辺の個人商店(お煎餅屋さんや惣菜屋さん)は、いまだに「現金のみ」という店が少なくありません。
「PayPay使えますか?」と聞いて「ごめんなさいねぇ、うち現金だけなのよ」と申し訳なさそうに言われるおばあちゃん店主。そこで「じゃあいいです」と立ち去るのは、あまりにも野暮です。
千円札と小銭を多めに用意した「散歩用財布」を作っておくと、食べ歩きの際にもスムーズです。レジでもたつくことなく、スマートに会計を済ませてこそ、この街に馴染む秘訣です。
まとめ:東京の古民家カフェは「不便」を楽しむ場所
谷根千エリアを中心に、東京の古民家カフェの楽しみ方を紹介しました。
要点を整理します。
- ルート: 「千駄木駅」スタートで混雑を回避し、へび道の路地裏へ。
- カヤバ珈琲: 「2階座敷」をWeb予約し、ふわふわのたまごサンドを堪能する。
- 上野桜木あたり: 縁側で谷中ビールを飲み、昭和の空気を吸い込む。
- 注意点: 脱ぎやすい靴と、綺麗な靴下、そして現金を用意する。
古民家カフェの床は軋むし、階段は急だし、冬は少し隙間風が入って寒いかもしれません。 でも、その「不便さ」こそが、便利になりすぎた現代で失われた「愛おしい時間」なのです。
今度の週末は、スマホの通知を切って、文庫本を片手に谷根千へ出かけてみませんか? 古びた柱の傷や、使い込まれた家具の手触りが、日々の喧騒で疲れたあなたの心を、優しく解きほぐしてくれるはずです。
※この記事で紹介した谷根千エリアの散歩には、長時間歩いても疲れない以下のスニーカーが最強の相棒になります。